働くひととホワイト企業を応援!志ンガー社労士の竹内隆志が音楽と講話で労働法を解説します

ホワイトな志ンガーズの世話人社会保険労務士竹内隆志が歌と講話で楽しく労働法について連載しています。

ダンダリンでわかる労働法(4) 内定切り

またもや執筆が遅れました。この時期やはり業務で疲れ切ってゆっくりテレビを見てくつろげるという時間がとれません。と言い訳をしながらビデオで撮っていたダンダリン第4話「内定切りにあう学生たち」を見終わると、これまで法律的な解説をしてきたのですが、うーーん(決して唸っているのではありません。)しばらく何も書けなくなりました。

最後にあれほどの仕打ちをされながらも企業から内定取り消しを取り消され、内定になり企業に採用されることを望んだ学生たち。面接のときにあれだけ熱く自分の夢を語りその企業でそれを実現しようとしていた女子学生が、労働基準監督署に事情を話したことにより、人事部長から将来製品開発部門でその子の夢は果たせないことを冷たく言い放され、失意のもと、精神的にはとてもつらい状況下にあっても就職環境が厳しいこの時代にあって、それでもその企業で働こうと、ばかげた研修を続けて頑張っている姿など・・・・。

 企業の存続をとるか、労働者を守るべきか、企業がつぶれてはそもそも雇用が守れないといった、二律相反的な議論のそのどちらを優先するのか、難しい課題を突きつけられて、それぞれの考え方が相容れないことも、非常に考えさせられる問題でもあります。

ダンダリン、ここにきて深いです。このドラマは今の社会に対してものすごいメッセージを発しています。単純に勧善懲悪で労働基準監督官の活躍を描いているわけではありません。労働基準法のかしこまった解釈や適用だけを世の中に説いているわけでもありません。

この日本の雇用社会がかかえている「アンチテーゼ」を問いかけているのです。

 

今日若者たちが置かれている厳しい状況を日頃就職支援機関等の相談現場で見る中で、よくわかります。

今回は労働契約法労働基準法第104条の監督機関等に対する申告などをした労働者に対して使用者は解雇その他不利益な取扱をしてはならないと規定されているのですが、現実的には労働者の方がその使用者のもとで申告をした後でも働き続けているというのは稀であると言わざるを得ません。

法の下に平等であると規定されていますが、こうした権利を行使する以上労働者は相当な決意や覚悟を要求されるわけです。そして再び職場で働き続けるには精神的にも相当タフでなくてはなりません。

 

こうしたことを今回のダンダリンは視聴者や社会に対してアピールしているのです。このドラマは意外に低調だといわれ、もしかしたら第6回で終了するような噂があるようですが、私はそれは民放といえども勿体ない話だと思います。昨日事情あって裏番組で法律職が登場するドラマを見ましたが、ダンダリンと比べてうーん浅いなという印象を持ちました。それは社労士が登場していないという理由だけではありません。

訴えるメッセージ力が弱いのです。

ダンダリン。第一話はてんこもりで全般的に浅いなという印象がありましたが、ここにきて内容もテーマもグッと深くなりました。悪徳社労士は登場しますが、この番組の持つ問題意識は価値ありと思われます。短期間で終了しないで!と言いたいです。