働くひととホワイト企業を応援!志ンガー社労士の竹内隆志が音楽と講話で労働法を解説します

ホワイトな志ンガーズの世話人社会保険労務士竹内隆志が歌と講話で楽しく労働法について連載しています。

ダンダリンでわかる労働法(2)名ばかり管理職とは

 名ばかり管理職とは

 

 まず、期限待ったなしの業務におわれ第2回の執筆が大変遅れましたことをお詫びします。

さて第2回は社長からたびたびセクハラ行為をされて悩んでいた25歳の女性店長(中華料理店)の事件でした。セクハラつまりセクシャルハラスメントの問題は今日相談事例が多いのですが、被害者からすると労働局(担当は雇用均等室)に訴え出てもなかなか根本的な解決がはかられにくいというのも実情です。

ドラマでは労働局の指導を受けて社長が本人に謝罪をしたというカタチでの結果にはなっていますが、その後にセクハラからパワハラ(上司等の権限をかさにした嫌がらせ・いじめ・圧迫)に変容するケースは少なくはありません。

さらにセクハラ行為をされたと立証するのは実は非常に困難で、裁判所等第三者に客観的に認めてもらうにはそれ相当の証拠資料などを提出する必要があるため、特にそれが密室的な場所で行われていたとするなら、第三者の証言も得られにくいケースは出てこようかと思います。

ドラマでは、たまたま社長の言動を食事にきていて居合わせた労働基準監督官が聞いて直接社長に確認したような事例は通常ではありえないことでしょう。(笑い)

 

さて、今回のテーマはセクハラもさることながら「名ばかり管理職」の残業代未払い問題でした。

労働基準法第41条第2号に定める「事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者」の解釈が焦点でした。

これは東京地裁で、ファーストフード店の店長について上記にあたらないという判決が行われました。それ以降労基署の調査においても、名目上の管理職、つまり上記で言う「監督若しくは管理の地位にある者」とはそれ相当の人事権や経営に関しても権限を有するような、一般的には、部長、工場長等労働条件の決定その他労務管理について経営者とー体的な立場にある者の意であり、名称にとらわれず、実態に即して判断すべきとされて判断基準となっています。

今回のように入社してそう何年も経たず働きぶりがいいとして「店長」に抜擢されたが、シフト勤務や人員の割り振りすら権限を与えられなかった、25歳の女性店長は、それに当たらないと否定されたわけです。

ですので過去2年間分の残業代未払い分の支払を監督署は企業に命じました。

ただ「名ばかり管理職」の問題はたんに未払い残業代だけが問われるのではなくて、最大の問題点は「管理職だから」という論理で強要される長時間労働を常に強いられることにより、労働者に心身の健康を害するリスクがあるという点に注目しなければなりません。 

東京地裁の判決の事件では、その店長の時間外労働は月100時間を超えていたなど、長時間労働が恒常的になっていたという事実です。その原告も脳疾患の病気になったと診断され、この事案でも割増賃金の未払い問題ではなく、労働者の健康管理が問題視されていた、つまり企業が労働者への安全配慮義務を怠っていたという問題でもあると

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いえます。