働くひととホワイト企業を応援!志ンガー社労士の竹内隆志が音楽と講話で労働法を解説します

ホワイトな志ンガーズの世話人社会保険労務士竹内隆志が歌と講話で楽しく労働法について連載しています。

ダンダリンでわかる労働法(11) 最終回 社労士の使命を考える

ダンダリン 労働基準監督官|日本テレビ

がとうとう終わった。

初回で喪服で監督署員がその自宅を訪れていた場面を思えば、意外にあっけない幕切れでした。思えば、このドラマ少し生真面目すぎたのかもしれないと思う。裏番組の

リーガルハイ - フジテレビ

が軽いノリで受け狙いをモロにいくのに対して、このドラマの制作者陣も主人公同様に結構真面目にシリアスに取り組んでいたように思う。

特に最終回で段田凜に復讐をしようとしていたブラック企業の経営者にみる、人を消耗品として使い切る考え方、つまり今の社会全体のありように警鐘を与えるべくこのドラマを作り上げていたようにも感じた。

労働基準監督官というプロフェッショナルの仕事をとうして、視聴者にその問題意識を問うたのは、それはそれで意義があったように思う。

ところが、世の人はどちらかというとせちがない日常の中で働かざるを得なく、家にかえってリラックスする時くらい現実から離れたいという意識があったのか、番組を見る側としては、現実としては絶対ありえない法廷ドラマのほうを選んだのだ。

ダンダリンに出てきた労働の実態は、日常よくある話だ。

毎回有名なブラック企業の実情をモデルにしているとも聞く。働く人にとって労働基準法労働基準監督署の役割などが番組をきっかけに理解され、私たち社会保険労務士の存在もドラマの中では、風間君が演ずるブラックな社労士の最後の情けない姿をとおしてまっとうに職責を果たすことこそ、本来の使命であることが描かれていたのは逆によかったと思う。

 彼の上司の社労士事務所の女性所長が「私たちは企業を守るのであって、法に背く経営者を守るのではありません。」という主張も、ダンダリンが常に労働基準監督官の使命としていた「働く人を守る。」と重なりそれぞれ立場は違うものの実は根っこの部分ではつながっていたことを改めて認識できたのではないかと思う。

 全国社労士会連合会がこのドラマで使う社労士バッジの使用を頑なに拒んだため、ドラマの中で使われていたものは実物と若干違っていたようだ。

ガチガチの頭で考えれば登録者でもない者に社労士バッジを貸与するのは駄目というのは想像できるが、もっと柔軟に考えてドラマの中でのみ使用するという限定条件を付けて、使用を認めて協力関係を持ったほうが社労士制度の広報普及という観点からはそう問題なく容認出来る話ではなかったのか。

結果的に視聴率低迷の番組だったから必要でなかったというのではなくて、社労士の存在や職責を放送番組とタイアップして伝えたほうが長い目で見れば得策だったと思う。番組も残るしいつでもビデオを観ることもできるのだ。

いまでも連合会はポスター制作やビデオ番組にタレントを用い、企画会社に制作を委託してお金を結構使っている。

メディアはくさってもメディアだ。その影響力は絶大だと思うし波及効果も期待できる。今のウェブに視聴者を引き込んでくるだけでも相当な工夫や仕掛けを要する。

今回をとおして、ダンダリンというせっかくの機会を生かし切れたか、この番組をとうして我々社労士も一人一人にも反省材料があったのではないかと思う。